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「業種や職種を軸に、労働者を広く結集し、業界を相手に労働条件の向上を求めていく運動」を研究。

  









      

      ◆UP(2019.02.24)◆更新(2019.03.08)
 


◇・と き 2019年2月16日(土)午後1時~5時。
・ところ NATULUCK飯田橋東口駅前店 4階大会議室B。(千代田区)


◆当日のプログラム
 
 I部  ジャパンビバレッジのストライキ闘争とその広がり

  司 会 青木耕太郎(総合サポートユニオン執行委員)
  報告者 池田 一塵(総合サポートユニオン執行委員)

 ジャパンビバレッジのストライキ闘争に寄せられた社会的反響と、ストライキに魅せられ組合に加わった労働者が展開する同業他社での取り組みの実態を報告する。
コメンテーター 栗原耕平(首都圏青年ユニオン)

 II部 自販機業界でたたかう若者たち
 
  《現場からの発言》 自販機業界で闘う若者たち(ジャパンビバレッジ、大蔵屋商事など)
  問題提起 自販機ベンダー労働者の「階層特性」について 今野晴貴(研究会員)     (PDF版



 
 ◆コメンテーター 栗原耕平(首都圏青年ユニオン)







     ◆第5回例会の報告 その1 
   ジャパンビバレッジのストライキ闘争とその広がり
     
  [司 会] 青木耕太郎(総合サポートユニオン執行委員、左側)
  [報告者] 池田 一慶(総合サポートユニオン執行委員、右側)





  1.総合サポートユニオンとは
 
 →世田谷区と仙台市に事務所を置く、個人加盟労組。組合員200名ほど。
 →業種別支部と課題別支部を支部として、持つ
 業種別:介護保育ユニオン、私学教員ユニオン、エステユニオンなど
 課題別:ブラック企業ユニオン、裁量労働制ユニオン、労災ユニオンなど

  2.ジャパンビバレッジの会社と労働者の特徴

 (1)会社
 親会社:株式会社ジヤパンビバレッジホールデイングス
 背景資本:サントリーグループ(株式の7割以上を保有)
 地方子会社:JB北海道、JB東北、JBイースト、JB東京、JBセントラル、JBウエスト、JB中四国、JB九州、JB沖縄
 売上高:1600億。業界2位。(純利益46億)
 従業員数:5000名程度(8割以上がルートドライバー)
 業務内容:自動販売機の設置、運用。飲料の売上げが主な収入。
 自販機は、路上の他に、鉄道駅、オフィスビルや商業施設などにも
(2)労働問題
  →長時間労働(8時~21時、100時間残業)、休憩ゼロ。
  →長時間労働でも、月収25万円程度。
   事業場外みなし労働時間制の違法な適用によって残業代が不払いだった。
  → ルートドライバーの賃金には年功部分があるが、30代半ば400万前後止まり

  3.争議の経緯

 (1)組合結成から是正勧告まで
  → ひとりの労働者が組合を公然化し、労基指導を背景に事業場外みなし労働時間制の廃止など、大幅な労働条件の改善を勝ち取った

  2017年9月
  1人の労働者が組合加入し、団体交渉申し入れる
  当初彼は退職を考えていたが、「ブラック企業をなくしたい」という思い
     11月

     12月
  で、在職で闘うことを決意。
  労働基準法違反申告(足立労働基準監督署)
  労基法32条違反の是正勧告で事業場外みなし労働時間制の廃止

 (2)組合弾圧の開始と組織の拡大
  →是正勧告を受け、会社は非組合員も含めた全労働者に未払い材業代の一部を支払うと同時に、組合の拡大を抑えるために、組合に対する攻撃を開始した
  →現場の労働者は闘う組合を支持し、会社の攻撃がきっかけで組合に多数が加盟した
  →使用者の不誠実な対応を目の当たりにした組合員は怒りに燃え団結を強化した
  2018年3月上旬
  →労基の是正勧告を受け、全社的に未払い残業代の支払い
  ※この時会社は休憩が取れていたものとして支払うとし、休憩時間が取れていない旨の同意書へサインさせた。
  →是正勧告を受け、ブログでの宣伝を開始。これをみた30名ほどの労働者から連絡があり、そのうちのおよそ半分を組織。
  →組合リーダー、ほかの人に会わない単独ルートに配属。
  下旬 会社が組合リーダーに「懲戒のための調査を行う」と自宅待機命令
  これに対する組合の抗議申し入れ行動も懲戒の対象にされた
  4月上旬
  →東京駅の組合員の同僚が、会社の攻蝶を期に新規加入。職場のおよそ半数が組合員に。
   「Kさんが変えてくれたんだから、彼を守る」
   「残業代を全額支払ってほしい」
    9日、 20名以上で団体交渉へ。
   「休憩はとれていました」という会社の不誠実な態度が、JBの組合員の強い怒りを買う。「どうやってとれというのか!」
 
 (3)会社への反撃。順法闘争・ストライキ、求人差し止め
  →組合は、順法闘争とストライキ、求人差し止めで反撃。
  →会社は、不誠実な態度を変えなかったが、労基法順守とスト対策のために、現場の増員に動いた
  →闘う労働者の姿はインターネットを通じて、社会的に広い支持を受けた。
  →社会からの応援と、具体的な成果を受け、組合の中心メンバーの団結は深まった
   4月18日~ 処分の撤回と未払いの支払いを求め「順法闘争」へ(順法闘争雪の様子を伝えるtwitterで6万リツイート。
   順法闘争を受け、会社は東京駅支店を増員(14名→35名)
   27日 新宿職安に職安法20条適用を申請。労働委員会での調査の結果、lか月後に
   JBの求人が止まる(なお、10月には求人情報提供者適正化推進協議会が民間求人情報掲載業者に職安と同様の措置を取るよう、通知。リクナビからJB東京が消えた)
   28日~5月2日 順法闘争に加え、毎日二名、二時間ずつの時限スト
   5月3日 全員で一日ストライキ。
  一連の順法闘争-、ストライキはネットニュースでも大きく取り上げられ、今野氏の記事がyahooトップをとるなどした。

 ※順法闘争・休憩を一時間しっかりとったり、普段はできていなかった商品の衛生や労働者の安全のために定められた社内規則と労働法規を順守して働いた。普段、労働者の過重労働に頼り切りの体制故に影響は甚大。順法労働で、組合員の業務はおよそ半分に。

 (4)順法闘争とストライキの成果
   5月以降も会社は、組合を交渉1
   5月以降も会社は、組合を交渉相手として認めない態度を続けており、組合も散発的なストライキ等で戦い続けている。とはいうものの、以下の成果を勝ち取っている。
   ① 職場リーダーへの懲戒解雇の阻止
   ② 過去2年間分の未払残業代の一部支払い
   ③ 事業場外みなし労働時間制の廃止と今後の適切な支払い
   ④ 労働条件改善(組合員のいる支店は相当な改善)
   人員増(東京駅支店は従業員数が10人以上増えた)、労働時間短縮(残業時間は1日当たり30分以内)、有給休暇の完全取得(毎月1~2日取得)、休憩60分取得
   ⑤ 東京駅支店の労働環境改善
     熱中症対策(給茶機の導入、飲料支給増、ファンの導入)、「夜作業」の企ての阻止。

(以下、全文はPDFへ)









  4.同一業界内での組織拡大と業界共通の問題


 (1)ネット宣伝とビラまきで、組織拡大
  →ゴールデンウイークの順法闘争とストライキの結果は、組織拡大につながった
  →情報宣伝の手段は、主にインターネットとビラまき。
  →特に同一業界の労働者には、路上でビラまきが効果的

 「あのジャパンビバレッジの人ですか? どんどんやってください」などと支持の声
  →数社で組織化を実現

  (2)大蔵屋商事(川口市本社、労働者数:200程度)における争議
  →過重労働と未払い賃金
     150時間残業(朝5時から夜22時まで、休憩なし)、 96時間の固定残業代
  →たった一人の公然化!
    「前職の飲食店では、親方が脳疾患で倒れ、記憶喪失に。あの時は怖くて逃げだしたが、今度はそうしたくない」「過労死は、その人の人生も周りの人の人生も変える」
  →30代前半の一人と6月頃から組合準備会
  →年末に組織公然化後の組合説明会には、ほぼ全員が参加。
  →組合が行動を始めたのを契機として、他営業所にも組織拡大。一名から10名ほどに。

    5.自販機業界政策の方向性

 
(1)飲料品メーカーの過当競争
  →飲料自販機台数:244万台、市場規模2兆円(何れも微減傾向、飽和状態)
  →飲料品メーカーの売り上げのかなりの部分が自販機売り上げ
  →消費者の貧困化で薄利多売の量販店の利用者が増え、自販機の利用者が経っている
  → 飲料品メーカーが自販機台数をめぐる織烈な競争を繰り広げている。

 (2)二種類の自販機オペレータ-その特徴
  ① 飲料品メーカー直系大企業:自販機の6割程度のシェア。全国規模、大企業
  ② 専業オペレーター:自販機運営のみを生業とする会社。数社を除き、地場の中小企業

  (3)業界全体に蔓延する長時間労働と低賃
 ①伊藤園
  ・賃金:月収25万円~30万円程度(固定残業代:3万5千円、30時間程度分)
  ・労働時間:朝7時頃~夜8時頃まで(休憩ほぼゼロ)
  ・タイムカードとは別に残業時間を申請する用紙があり、そこには朝8時30分という定時の始業時刻が予め記載されており、実際には朝7時に出勤していても、残業時間の申請用紙上は、朝8時30分に出勤したことになっている。
 
 ②アサヒ飲料販売
  ・賃金:月収25万円~30万円程度(固定残業代なし)
  ・労働時間:朝7時頃~夜7時頃まで(休憩ほぼゼロ)
  ・いくら働いても、時間外労働が月に45時間しか働いたことにならない。

  ③東京キリンビバレッジサービス(2010年に品川労基署が過労死認定)
  23歳ルートが2010年4月13日夕、勤務中に会社の屋上から飛び降り自殺。亡くなる5分前、姉(26)の携帯電話にメールで「仕事がつらい。父さん母さんをよろしく」などと書き送っていた。品川労基署は、09年10月~10年3月の半年間で男性の毎月の時間外労働は平均81時間、最長で92時間だったと労災認定。
  
  ④日東フルライン(コーラ系)(2010年に大阪西労基署が過労死認定)
  08年8月に自殺した兵庫県尼崎市の男性(当時27歳)の両親が近く、過労でうつ病を発症したのが原因だとして、会社に計約8300万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。
  大阪西労働基準監督署は2010年6月に認定。タイムカードでは、うつ病発症前1カ月の時間外労働は約104時間、3カ月平均は約81時間だった。

  (4)働き方改革の影響
  →自販機ルートセールス労働者は、いずれも100時間越えの残業を行っている。
  →飲料品メーカー直系は、4月の労働時間規制に向け、昨年末から自販機を削減
  →飲料品メーカー直系が手放した自販機は、地場の専業オペレーターに回されている
  →中小専業オペレーターの労働者の状況はさらに織烈を極めるだろう。

 5.面の課題と展望
 
  →脆弱な自販機業界
  →長時間労働と未払い残業代に頼って成り立つ自販機業界の利益構造は脆弱
  →事業規模を抑え、労働条件を改善することが業界にとっても急務
  →社会的支持を背景にストライキを打ち抜ける情勢が切り開かれた。
  →労働組合の経験のない若年労働者が次々と組合に加入し、一年もしないうちにストライキを打てるだけに成長し、先頭に立って闘うリーダーも生まれつつある。
  →長時間労働の撲滅を軸に、企業横断的に労組を組織し、業界を挙げての自販機を削減させる方向で政策を作り上げる必要がある。
  →「こんなにたくさん自動販売機、必要ないよね?」は社会的にも支持されるだろう。


 
  たたかいのビラ(当日、配布)
   

    
    






 ◆第5回例会の報告 その2 

   自販機ベンダー労働者の「階層特性」について
     
  [問題提起] 今野晴貴(研究会員)




  1. 1 論点
 

 ・日本における「階級」の構成
 →企業主義統合
 「正社員」においては、企業内における工職混交、年功賃金、長期雇用等により、企業内的に強固に統合された労働者像が形成されてきた。日本社会においては、それゆえ、「階級意識」が形成されず、「社員」としての意識が内面かされてきたのである。
→企業主義統合の「外部」としての非正規雇用[注1]
 非正規雇用労働は、2000年代に「家計自立型」に転換を遂げ、彼らこそが企業社会の「外部」の労働者層を成した。その典型が、「派遣村」の運動を行った製造業派遣・請負労働者である。製造業派遣・請負労働においては、時給1100円程度の「職務・時間給」が支払われる。残業時間が長い場合には25万円程度を得られるが、休日が多く、労働時間が少ない場合には10万円前後まで落ち込む。生計を維持するために「寮」が 重要な役割を果たしていた。

 ・新しい「階層」の構成
→非年功的雇用カテゴリーとその階層性
 企業主義統合されない新しい階層構成は、「家計自立型非正規雇用」+「周辺的正社員」として形成されつつある。これらの雇用カテゴリーは、「非年功的」な労務管理に服している点で共通している。資本蓄積の進展の中で、正社員が「二極化」し大多数が、IT労働を含む「ルーティン生産サービス」と「対人サービス」の中に「転落」するからである。

 (労働が二極化する)「一方の極としてライシュがあげた「ルーティン生産サービス」と「対人サービス」の職業とは…「対人サービス」は、医療、教育、福祉介護、タクシー運転など対人的なサービス産業で、単純な繰り返しの労働に従事する職業である。」
 「ルーティン生産サービス」は、ライン労働に従事するこれまでのブルーカラーが典型的であるが、ライシュはこの「旧来のブルーカラー」に、「情報化時代」における「膨大な量の単調な作業」の担い手である「情報経済の歩兵部隊」をあげている。(木下武男『格差社会に挑むユニオン』68-69)

  (注)
 1  製造業派遣・請負労働の階層特性については、詳細は今野(2017)を参照されたい。



→これらの「周辺的正社員」階層と、「家計自立型非正規雇用」は相互に行き来する新しい階層を形成する,.
 二○○二年五月、日経連・労使関係特別委員会がまとめた提言「多立型賃金体系の構築へ――成果主義時代の賃金システムのあり方」である。労働者の職務を「定型的職務」と「非定型的職務」に二大分割している。「定型的職務」は「定められた手順。方法や判断により製品やサービスなどの成果物をアウトプットする職務」とされ、一般技能職上般事務職。販売職が範囲とされている。ブルーカラーと事務職、販売職など膨大な労働者がこの「定型的職務」に属することになる。「定型的職務」の賃金は、職務給か、習熟給を加味する職務給である…そして注目すべきは、正社員と非正社員いう一雇用形態の区分をこの提言でおこなっていないことである。職務給を軸にして周辺的正社員と非正規社員とが労働市場で相互行き来することを念頭に置いている(木下武男『格差社会に挑むユニオン』69-70)
 
 ・近年のストライキを含む労働争議の「階層」的性格[注2]
→産業特性:サービス業を中心として、社会の再生産に直接関与する問題として表出。
 この点は、「企業内労使関係」と見なされない点で、特に重要である。
 →職種特性:職種・職務限定的労働者の闘争として表現されている:図書館、運転手、介護、保育等々。
 →雇用類型:非年功的カテゴリーの労働者による「階級闘争」としての性質
 →彼らの労働は、細分化される中で「職務」や「職種」として再度カテゴライズされている。ただし、従来の間接労務管理ではない以上、それらはルーティン化・マニュアル化されており、技能の習得や行使についての自律性も労働者は有していない。比較的習熟期間も短い。それにもかかわらず、細分化された職務や、あるいはそれらが「合理的」[注3]に結合した「職種」が形成されており、そこに市場横断的な「共通性」が見いだされている。
→同時に、彼らは職種を転換する「下層労働市場」を形成している。次々に類似の労働に従事することで、階層的な「共通性」を再帰的に見いだしている。

 (注)

 2 ここで紹介している労使紛争の特性については、井手・今野・藤田(2018)及び岩波書店からの近刊本をぜひ参照されたい。後藤道夫先生、木下武男先生等と夏頃刊行予定。
 3 コンビニや外食チェーン店の店長を見れば明らかであるが、彼らは企業内において不合理に職務階梯による支配をもはや受けていない。労働者の抵抗も極小であるため、職務をそのまま再統合し、職種となっている。

 

(以下、全文は未発表。雑誌に掲載される予定です)



 

   (2019.03.08)
   
  
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編集人:飯島信吾
ブログ:ある編集者のブログ
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